書籍・雑誌

2017年7月23日 (日)

読物 『ライト兄弟―大空への夢を実現した兄弟の物語』

記事で見かけて読んでみる気になった。

歴史的偉業を世界に知らしめよ 『ライト兄弟 イノベーション・マインドの力』 - HONZ

市立図書館の蔵書検索で貸出可能状態でヒットしたので書架に赴いてみたところ見当たらず、同じタイトルで別の著者の本があったので、知識を補完する分には大差あるまいと読んでみることにした。

ライト兄弟―大空への夢を実現した兄弟の物語
富塚 清
三樹書房
売り上げランキング: 910,833

二人兄弟と思っていたが五人兄弟の三男と四男が飛行機に関わり、そしてその妹が支援していたこと。歴史に名だたる功績を立てながら経済的な大成功者にはならなかったこと。エンジンも自作したこと。風洞やカタパルトを実用していたこと。つづりがWrightであること。

そんなことを知り得た。

ディティールについてはおそらく著者の想像による小説めいた会話を含み、いささか生暖かい感情を得てしまうことを禁じ得なかったが、読みやすく、わかりやすい。

2017年7月 7日 (金)

読物 『世界の小さな終末』

『スタープラチナ』の絵師であるという一点でのみフォローしている撫荒武吉氏のTweetより既知とした。

Tweetに曰く、ストリップに関する蘊蓄が云々とあり、ストリップにもなにかしらTipsめいたものがあるのかと興味を覚えたのだが、蘊蓄ではなく、登場人物のこだわりにすぎなかった。

核による冷戦構造をモチーフにした『銀河ヒッチハイク・ガイド』なカンジのお話。
手にしたものが昭和43年5月15日印刷発行の、ページの隙間から紐閉じの具合が見える製本の、検印の押された360円のハードカバーで、そのたたずまいは細かいことに目くじらをたててはならぬと無言で発しているかのようだ。

2017年6月22日 (木)

読物 『Webを支える技術』

およそ20年ぶりくらいにWebに関わる仕事をして、HTML+CGIとか、PerlでHTMLを出力する時代には感じられなかった面白さを感じた。

HTMLそのものは未だに好きになれないので、周辺で動く実装が楽しいということになろうか。
ここ一年くらい、Javascript、Python、Ruby、PHP、node.jsなんかをとりあえずいじってみて、動くものを作ってみせることはできるけれど、どうにも根本的な知識が欠如しているらしいことに気付いた。たとえば、HTTPリクエストが八種あるとか知らなかった。PUTとかDELETEとか使う機会もなかったし、これまで出会ってきた改修対象にもWeb上のサンプルにも見たことがなかった。
そんな昨今取り組んでいたものは、設計思想的なものを特に持たず、今思えばなんとなくC/Sの考え方で実装していたようだ。

なにか総合的にか統合的にか学べる手段はないものかと漠然と思っていたところに、本書のタイトルが目について、読んでみる気になった。

前半は欠けているものを補っているという実感が得られたが、後半は抽象度が高すぎてあまり参考にならなかった。
リソース指向という初耳な設計思想も、なんとなくの印象ではおもしろそうだと感じつつも、実装が思いつくほどには理解できなかった。

Webの技術を学んで感じたことは、一年前の情報は化石で、タイミングにもよるが下手をすると一か月前の情報でさえ役に立たなくなっているという事例に高頻度で遭遇するということだ。
利用するあれこれのバージョンを下げるとか、なんとかいじくりまわして現在のバージョンの実装に手直しするとか、そういうことに絶えず出会う。

リソース指向になんとなく感じる利点がそのようなギャップを乗り越えられるかというとそうでもないかもしれないんだろうと感じる。その都度便利そうなものを組み合わせるしかないんだろうなとニワカは思う。

総合的に、あるいは統合的に学ぶという目的が達成されたかというと否で、どの辺を掘り下げるのがいいのかも掴みかねている。

Webを支える技術 -HTTP、URI、HTML、そしてREST (WEB+DB PRESS plus)
山本 陽平
技術評論社
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2017年6月10日 (土)

読物 『この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた』

Twitterだったと思う。推しの言葉を見て興味を覚えた。

まず、この本が提示した前提条件が想像しえず、読み進めることが困難だった。
それはあまり重要ではなく、この本が示すものがごく狭い範囲での科学技術史と思えるようになってからは読みやすくなった。後半になって登場する、個人的に苦手とする化学の言葉と電気の言葉に惑わされながらも。

思考実験というよりは科学蘊蓄本という印象である。
刺激的ではないが、欠けていた知識を満たすために有用だった。

この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた
ルイス ダートネル
河出書房新社
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2017年5月16日 (火)

読物 『大地の王の再来 (ルーンロード 1) 』

既読とした順に述べると、『ダ・ヴィンチ・コード』『ダレン・シャン』『七王国の玉座』と似たような独所感がある。一番似てると感じられるのは『七王国の玉座』だ。

あっちへこっちへふらふらして、落ち着きがない。登場人物が物語中に行う移動のことではなく、文体も含めた全体的な印象として。また、こうだと表現したことをすぐあとに否定する。登場人物の心情描写にこれが多い。これも落ち着きがないと感じる理由の一つと思う。
壮大な設定をこしらえたのに、物語はせせこましい。スケール感の差に居心地が悪くなる。『ベルガリアード物語』は、旅の終着点に辿り着くまではこの上なく面白かった。最終決戦がなんだかなあで、そんなカンジにも似てる。

でもまあ、面白い。続きを読んでみようと思うくらいには。

2017年5月 6日 (土)

読物 『シュメール―人類最古の文明の源流を辿る』

図書館で歴史とかの棚を巡っていた時に目について、先ごろFGOで王様を手に入れたことを思い出し、記念に読んでみることにした。歴史解釈は時とともに変わるもので、1998年刊行の情報は2017年現在、既に死したるものとなりはてている可能性もあるが、端緒としては大きくさわりはあるまいと断じて。

シュメールについて個人的に初めて触れたものは『ドルアーガの塔』由縁であろう。
当時はどんな調べ方をしたものかわからなかったものだから、ゲーム雑誌に載っていた特集記事なんかで満足し、エンキドゥの名もそこで知り得たと思う。
その後RPGに親しんで、フンババとかシュメール由来のことも幾らかは知識として仕入れたが、ファンタジーのカテゴリにおいてシュメールが含まれる成分はあまり高くなかったように思う。

『ドルアーガの塔』といえば。
ギルというのがギルガメッシュだとして、カイとはなんぞ? 設定だとイシターの巫女でギルの恋人だというが、なんでだかそれだけで納得することができなかった。巫女って男禁止じゃん? とか思ったのだろうか。今なら悩むこともなかろうが、中学生当時の脳がそう覚えてしまったものは容易に拭い難いらしい。
ともかくカイというヒロインの立ち位置について、どう解釈したものかとずっと不明のままだったが、シュメールの王権と神権に対する本書の解釈を仕入れて、なんとなく落ち着いた。

シュメール―人類最古の文明の源流を辿る (アリアドネロマン―古代文明の謎を追え!)
ヘルムート ウーリッヒ
アリアドネ企画
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2017年4月29日 (土)

読物 『戦争は女の顔をしていない』

対談記事で引き合いに出されていて既知とした。

気になることを知るためにあれこれと読み漁っているうちに、WW2においてソ連はなぜナチスの進撃に耐えることができたのか不思議でならなくなった。いかにして、ではなく、なぜ。

社会主義下における教育のためか、スターリンのカリスマか。あるいは国土への愛か。人々は自ら望んで戦地に赴き、素手で戦車に挑んだという。初期には前線に弾薬がなかったというのだ。その中には女性もいた。看護婦として、通信士として、そして、兵士として。

そのような方々がそのようにふるまった経緯と、その後と、そのさなかの時代風景とが語られている。
戦争を戦場で戦って生き抜いた女性たちの声だけがつづられている。

戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
岩波書店
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2017年3月26日 (日)

読物 『裁判官の爆笑お言葉集』

ネットのどこかで見かけて、タイトルから「裁判官を揶揄する内容」であろうと思い込んだ。

普段、裁判に接する機会がない身上としては知る機会を得られたという点で良書であるが、看板に偽りありで、内容は爆笑とは無縁である。

裁判官の人情お言葉集 (幻冬舎新書)
幻冬舎 (2012-09-14)
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読物 『親書アフリカ史』

 しかしヨーロッパにおける産業革命の進展は、アフリカにより大きな富の可能性を求め始めた。奴隷でも象牙でもない商品を要求したのである。ニジェール川のデルタ地方では、それはアブラヤシであり、セネガンビア地方では落花生であった。これらの作物からとれる油は、文字どおり産業革命の潤滑油として重宝された。列車の車輪の動きを最も円滑に制御できる機械油として、あるいは石鹸やロウソク、マーガリンの原料として、ヤシ油やピーナッツ油は引っ張りだこの人気商品となった。一八一〇年には一〇〇〇トンだった油やしの輸出高は、一八五五年には四万トンを超えた。
 こうした状況を見たヨーロッパ列強は、沿岸部の拠点の確保だけではもはや満足しなくなった。内陸に押し入り領土を切り取ることを欲し始めたのである。その露払いが探検家であり、キリスト教の宣教師であった。彼らは内陸の町や村で、首長や長老に出会うとスポンサーの国旗を渡し、ガラス玉や金属器をプレゼントして保護を約束した。するとその地域は、もうその国の勢力圏ということになるのである。たとえばベルギーのレオポルド二世をスポンサーにもつスタンレーは、一八七九年からのコンゴ川探検で四〇の基地を築き、四〇〇余りの条約を土地の首長と結んだ。その結果、コンゴ全域はレオポルド二世の勢力圏となり、王の私領「コンゴ自由国」の成立を導いた。
 切り取り放題の状態を憂慮した列強は、秩序だったアフリカ争奪のための会議を開いた。それが一八八四年一一月から翌年二月まで続くベルリン会議である。会議にはアフリカの領土を奪おうとする一三の国が参加した。(レオポルド二世の私的利害を代表する今後国際協会もオブザーバーとして参加)。一三の国とは、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、アメリカ、ロシア、オランダ、オーストリア=ハンガリー、スペイン、ポルトガル、スウェーデン、ノルウェー、オスマン・トルコ、それにベルギーであった。会議はもともとコンゴ地域における、列強の領土分捕り合戦の調停を意図してビスマルクが呼びかけた。レオポルド二世のロビー活動の成果もあって、列強はコンゴ自由国の権益を承認するとともに、コンゴ川の自由航行権とコンゴ盆地の自由貿易地域化を図った。それとともに、紛争の種であったニジェール川についても自由航行が認められた。
 ベルリン会議では、アフリカ争奪のための二大基本原則が合意される。それは勢力範囲の原則と実効支配の原則である。前者は、沿岸部の占領が自動的に後背地の所有権を生み出すという勝手なものだ。また他国の権益のない場所を勢力圏に入れるには、列強に通告しさえすればよいことになった。後者の原則は、勢力下に置いた地域では他国の権益(通商、航行)を保護できる実体的権力を打ち立てなければならないというおのである。
 アフリカ人の存在を見事に無視したこの合意について、ケニア人の歴史家オゴトはこう述べている。「一大陸の国家がより集まって、他の大陸の分割と占領について、これほど図々しく語ることが正当化されると考えたというのは、世界史に先例がない。」

P.286

エジプトをしか、アフリカの古代文明を知らないと気づいたのがきっかけだった。他になんぞないのかと調べて本書に出会った。
本書は1997年の刊行であり、最新の情報ではないにせよ、他にこれといった書も見つからなかったので、端緒になればと思い手に取った。

まず、アフリカの古代については、新発見はあるものの、1997年の段階ではよくわかっていなかったようだ。割と頻繁に発生する気候変動が文明の固定化を妨げたのかもしれない。現在はどうなんだろう。

次に、本書の大半はアフリカの植民地化とその影響について語られている。
ハルノートなんぞは「国際社会」による異端裁判でしかなかったことがよくわかる内容だといえる。

そもそもの目的は達成できず、脳内で既知としている近代日本史と対照するを禁じ得ず読み進めることになった。興味深い内容だった。

新書アフリカ史 (講談社現代新書)
講談社
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2017年3月 4日 (土)

読物 『シルマリルの物語』

10代の後半に読んで四半世紀を過ぎた今、ようやく再読を果たすことができた。
この間、いわゆる『指輪物語』は幾度か再読できているので、本書の敷居の高さないしは我が身のヘタレ具合がおのずとしれようというものである。

本書は物語ではあるが、神話とか設定資料集のようなおもむきが強く、ミドルアースの大気を呼吸しているかのようなひとびとにとっては至福であろうとも、凡俗にはいささか身に余ると感じられるのも事実である。登場人物の多さは三国志級であろう。
此度の再読も他の本を読む間に間に読み進め、二年くらいかけてしまった。

初読の時はトールキン先生すげえ! 世界を構築するのに言語からはじめなすったなんて! 的なノリで以後私的TRPGセッションにおいてはものすげえ影響受けまくりだったが、再読の今はトールキン先生の稚気というか厨二的なアレというか、そんなことを感じてしまって生暖かく微笑んでしまうことを禁じ得ない。とはいえ、『指輪物語』という作品には一切そのようなナニは(トム=ボンディバルを除いて)ないと感じられるから、一層感慨深くもある。

新版 シルマリルの物語
J.R.R. トールキン
評論社
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