書籍・雑誌

2017年9月23日 (土)

読物 『最後の秘境 東京藝大』

ラボルトの頭部。
私的な出会いはたぶん、高校の美術の授業だったと思う。デッサンの題材となった石膏像に名前があることをはじめて知った。ラボルトさんの頭部像ではなく、発見したラボルト伯爵の名を与えられたことも。
ザクなりしボルジャーノン、みたいな。

のだめとハチクロをあわせたような、マンモス学園ものを読んでいるような楽しさがある。藝祭は一度是非、訪れてみたい。

 

最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常
二宮 敦人
新潮社
売り上げランキング: 2,500

2017年9月21日 (木)

読物 『黒剣のクロニカ』

平井和正、菊池秀行、栗本薫。これら呪いとなってしまった名の列に、芝村裕吏を加えようと思う。

先に述べた方々には、今よりもものを知らない時に耽溺し、あるとき不意に、なんか遠くへ行っちゃったと感じたものだったが、かつてよりはものを知ったような気になっている今、この作家に感じるものは不快感だ。10ページ程度の内容を、その20倍かけて値付けする回文名の作家よりは許せるとしても。
クライマックスないしはまとめが不得手というだけではなく、時としてものすごくやっつけ感のある作品を販売するようになったからだ。

現マジオペシリーズで切ろうと思う。

2017年9月18日 (月)

読物 『モンゴル帝国誕生 チンギス・カンの都を掘る』

GoogleのRSS Readerが滅んだ後、久しくブログ巡回的な手段を見出さずにいたが、昨今知り得たFeedlyによって定期巡回するようになったHONZにて本書を知った。

『モンゴル帝国誕生 チンギス・カンの都を掘る』 - HONZ

モンゴルに抱く個人的憧憬の原点は何か。
幼少時に読んだ学研の『マルコ・ポーロ』あたりだろうか。同じころに、源義経が大陸に渡りチンギス=ハンとなったという説に触れたことだろうか。
それとも、どこでもいいから大草原をバイクで疾走したいという個人的な欲求からであろうか。

ヨーロッパ的なファンタジー世界においては、モンゴル帝国的な恐るべき侵略者像が語られることがある。その大躍進や支配のさまについては聞くところが少なからずあれど、その発端については知るところが少ないと自覚し、このタイトルに惹かれた。

本書にはチンギス=ハンの成功について様々な推測が挙げられている。チンギス=ハンに主眼を据えたとき、その背景となる周辺事情に気候変動や資源獲得が併記され、個人的には『銃・病原菌・鉄』以来面白いと感じるようになった地理への興味も満たされ、なかなかに良い読書となった。
人名はともかく、地名になんとなくトールキン言語を感じちゃったりしたことは余談である。

モンゴル帝国誕生 チンギス・カンの都を掘る (講談社選書メチエ)
マルコ=ポーロ―世界的な大冒険家 (学研まんが伝記シリーズ)

2017年9月17日 (日)

アニメ 『モーレツ宇宙海賊』

原作小説はゆえあって一巻しか読まなかった。そのゆえあって、佐藤竜雄監督作品としてアニメ化されると知っても当時、視聴を見送った。
Amazon Primeで公開されたのを機に、再評価を試みたわけだが。

JK主人公にときめかずとも、18話まではなんだかおもしろいと思えたのに、19話からなんだか空気が変わってしまって、楽しめなくなってしまった。気になって調べてみたら、原作は18話までで、19話からはアニメオリジナルだという。

佐藤竜雄監督作品は、主人公およびライバル周辺はみな大物で達観しており、お話は予定調和臭がきつい。ナデシコやステルヴィア、ムリョウではそれを楽しめたが、本作品においては果たせず、残念である。

劇場版は、この作品をベースにしている意味はまったくないが、劇場版ナデシコを彷彿とさせてくれたところはよかった。クライマックスがアレなのは「作家性」なんだろうなあ。

2017年9月16日 (土)

読物 『時代劇の「嘘」と「演出」』

幼少の折からいわゆる時代劇的創作には親しんでいたはずなのに、いつの間にか「ある種の時代劇創作は史実を大きく逸脱していない」と思うようになっていた。
自信にも説明しかねる思い込みだが、一例をあげるならば、吉川英治の「宮本武蔵」の重要な登場人物であるお通が創作だと知った時の衝撃を果としているかもしれない。

「サスケ」や「ワタリ」や「カムイ」のような、明らかに「お話」だと分かる作品はいいのだ。「影武者・徳川家康」も。
「宮本武蔵」や「柳生兵庫助」なんかだといけない。100%ではないにしても、実話成分は高濃度であろうと思っちゃうのようなのがいけない。

漫画『花の慶次』を期にして隆慶一郎を読み、以後、上述のようなことには無自覚にいわゆる時代小説を読み進めてきたが、無自覚ではいられなくなってから読むのをやめた。思うに、「時代小説」というジャンル名がいけないのだ。「時代劇小説」なら、こんな風に感じることもなかったかもしれない。騙されていなかったのに、騙されるように洗脳されてしまっていたというところか。
映像作品も好んでみることはなくなり、見ても武術的所作を中心に楽しむことが増え、それが満たされていれば概ね楽しめるようになった。とはいえ、ごく少数ではある。

一時期は耽溺していたものなのに、好まなくなってしまった理由を探すために、本書を読んだと思う。そういう目的に対しては本書の内容は広く深すぎ、当方のように軽く楽しんできた読者にとってはいささか重い。文体は軽いし、読みやすく、なにより面白いが、オタクの蘊蓄に首を垂れてるカンジにはなる。

時代劇の「嘘」と「演出」 (歴史新書)
安田 清人
洋泉社
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2017年9月 9日 (土)

読物 『The Story of V』

邦題『ヴァギナ 女性器の文化史』。

なんと明るいチ〇コ本 『日本男子♂余れるところ』 - HONZ

という記事の紹介物件に興味を覚えたが、図書館に蔵書がなかったことから、類する書籍として示されていた本書を読むに至る。こっちはあったのに、あっちはなかった、ということである。

「キリスト教の道徳影響下にある教育がもたらした誤った女性器説」について、ざまあみやがれとばかりに女性器は偉いと書き連ねている、と読める本。
本書が紹介する記述によれば、確かにそれはおかしい。こき下ろすに値する。童貞の想像級におかしい。

しかしその一方で、本書の記述もおかしい。本書がコケにしている過去の偉大な学説に通じるんではないかと思える書かれ方をしている。
例えば、女性器には精子を選択する機能があるそうで、昆虫やらなにやらはオスから獲得した精子をメスが体内に保存する機能があり、また選別して劣るものを破棄することができるという。それはいい。門外漢としては、生物とはそういうこともできるものかととりあえず頷いておける。
しかし、この論が人類にまで拡大され、しかもドヤ顔な文調で語られると。望まぬ妊娠があふれている現実や、肉体的な意味で人生の難易度が高い出生者が存在する現実に反しているように思えて、著者の認識を疑ってしまう。
精子を選別するからヴァギナ偉い!と連呼しているのだが、そのたびに首をひねってしまって、よい読書にはならなかった。

古代人類がヴァギナに抱いていた信仰や畏れ、極東の島国ではどちらかというと迷惑顔をされるタントラへの賛辞など、面白く読めるところもあったので、話四分の一くらいに読める方には薦められる。

その昔、どういう因果で読もうと思ったのか忘れてしまったが、『扇―性と古代信仰』を読んだ。内容はうろ覚えだが、こちらは興味ある人には薦められる面白さがあったように覚えている。

扇―性と古代信仰
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吉野 裕子
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2017年8月31日 (木)

読物 『東芝解体 電機メーカーが消える日』

読み応えのある一冊だった。

在りし日、「電気料金や電話料金は税金」などと耳にしたことがあったとしても、文学的修辞あるいは揶揄としか受け止めていなかったように思う。本書にてようやく実感を得た印象がある。

その頃一流といわれた企業は、国のバックアップでそうできたということも。

大人はいうほど大人ではないとは社会人になってすぐ実感したことであるが、企業の中の大人である一流もまたいうほど一流ではなかった。

本書の中で唯一プラス評価を受けている企業は富士通だが、富士通にはメインフレーム時代に曰くがあることが別な書物で語られていたことを思い出すと、ためになったと思いつつも、梶原一騎作品的に受け止めておくのがよいかもしれないとも思う。


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2017年8月 3日 (木)

読物 『猟犬の旗』

近頃楽しめてるほとんど唯一の小説作家、その作品である。

氏の作品には特徴がいくつかある。いいものもあれば悪いものもあり、悪い特徴の一つに、如実に投げやりとわかる著作が存在する、というものがある。
本書がそれだ。

一気に読める。しかし、なんというか。
似たようなところでいうと『セルフ・クラフト・ワールド』の三巻とか。

若干投げやりではあったが、『猟犬の國』が面白かっただけに、楽しみにしていたわりには残念感だけ残ったカンジ。コスパがとても悪いしネ。

読物 『読書で離婚を考えた』

GoogleのRSSリーダーが滅んでから久しくソレ的なものに親しんでいなかったが、あまりにも暇すぎたのでイマドキなソレ的なものはなんぞやと調べてみたらFeedlyというサービスに出くわしたので試用してみることにした。

読物系のフィードを幾つか登録してみたところ、本書の紹介に巡り合い、読んでみる気になった。
円城塔という作家には『Self-Reference ENGINE』で触れたことがあるようなないような、共著で氏の伴侶である田辺青蛙にはこれまで無縁である。
こんなんで取り組んでいいのかと思いもしたが、近頃、読物に困っているような気がして、実際はそうでもないのだが、なんかいいものがあればという気分で着手した。

紹介されている本は以下の通り。
『羆嵐』 吉村昭
『熊が火を発見する』 テリー・ビッスン
『VOWやもん!』 吉村智樹と仲間たち
『ボビー・コンロイ、死者の国より帰る』 ジョー・ヒル
『クージョ』 スティーヴン・キング
『〆の忍法帖』 山田風太郎
『板谷式つまみ食いダイエット』 ゲッツ板谷
『台所のおと』 幸田文
『小説講座 売れる作家の全技術』 大沢在昌
『年収は「住むところ」で決まる』 エンリコ・モレッティ
『五里霧の星域』 弘兼憲史
『プールの物語』 レム・コールハース
『活字狂想曲』 倉阪鬼一郎
『日本の鶯』 関容子
『人間にとってスイカとは何か』 池谷和信
『私が西武にやって来て、そこの住人になったわけ』 アリソン・ベイカー
『男色武士道』 池波正太郎
『パリの夜』 ロラン・バルト
『花埋み』 渡辺淳一
『お医者さんは教えてくれない 妊娠・出産の常識ウソ・ホント』 エミリー・オスター
『豚の報い』 又吉栄喜
『立体折り紙アート』 三谷純
『恐怖新聞1』 つのだじろう
『白い方丈』 須賀敦子
『かくれんぼ』 吉屋信子
『本を読むときに何が起きているのか』 ピーター・メンデルサンド
『薄紅天女』 荻原規子
『ビートニク・バイユー』 ジョン・ヴァーリィ
『今夜もノムリエール』 イセダマミコ
『野崎洋光 和のおかず決定版』 野崎洋光
『ミッケ!』 ジーン・マルゾーロ
『夜中に犬に起こった奇妙な事件』 マーク・ハッドン
『記憶破断者』 小林泰三
『ウナギと人間』 ジェイムズ・プロセッタ
『壊れた脳 生存する知』 山田規畝子
『連分数のふしぎ』 木村俊一
『西方冗土』 中島らも
『ソラリス』 スタニスワフ・レム
『バトル・ロワイアル』 高見広春

読んだことのあるタイトルが数冊あった。興味を覚えたタイトルも。

本書の内容はといえば犬も食わぬというカンジで、一番楽しめたのは表紙のポンチ絵である。内容をうまく戯画化した優れた作品といえよう。

2017年7月23日 (日)

読物 『ライト兄弟―大空への夢を実現した兄弟の物語』

記事で見かけて読んでみる気になった。

歴史的偉業を世界に知らしめよ 『ライト兄弟 イノベーション・マインドの力』 - HONZ

市立図書館の蔵書検索で貸出可能状態でヒットしたので書架に赴いてみたところ見当たらず、同じタイトルで別の著者の本があったので、知識を補完する分には大差あるまいと読んでみることにした。

ライト兄弟―大空への夢を実現した兄弟の物語
富塚 清
三樹書房
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二人兄弟と思っていたが五人兄弟の三男と四男が飛行機に関わり、そしてその妹が支援していたこと。歴史に名だたる功績を立てながら経済的な大成功者にはならなかったこと。エンジンも自作したこと。風洞やカタパルトを実用していたこと。つづりがWrightであること。

そんなことを知り得た。

ディティールについてはおそらく著者の想像による小説めいた会話を含み、いささか生暖かい感情を得てしまうことを禁じ得なかったが、読みやすく、わかりやすい。

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