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2015年9月

2015年9月29日 (火)

読物 『黒の過程』

十代の頃、カバラ魔術の本を読んだ。『ベルセルク』で汁気とかファル姉がやってることがそれで、同作品中では、魔術によってなにがなしとげられたのか術者は理解し周囲もなんだかわからんがなんか起こったことを観測しているが、現実というかカバラの本によると魔術の結果何かが起こったかどうかは観測者の主観によるっぽい。
ファンタジーを知覚する術のない凡俗の身には、そのとき知った呼吸法が、のちに習い知ったヨガの呼吸法と相通じるっぽいと思うだけの成果しか得られないものだった。

錬金術も同様である。
非金属を貴金属に変換するのが錬金術、そのようにまず覚え、なにかしらの知識を経るうちに、それは精神を高次に高めることを目的としたもので、金属変換は主目的ではなくカモフラージュであるとか、そんな達人の詭弁的な論が存在することを覚えた。
「黒の過程」とは錬金術のある段階を指す言葉だという。もっとも困難な過程であるそうな。

思わせぶりに主人公の男とその幼馴染の男が旅立つシーンからはじまり、主人公不在のまま唐突に主人公の家族の話になって一族がどこそこでなにやって家族の誰それが死に、冒頭の二人が数十年ぶりに再開し別れ、幼馴染が野たれ死に、そしてまた描写されぬままに時が過ぎ、晩年の主人公の物語となる。物語というよりは、物語の舞台を描こうとしているかのようだ。
エンディングはストルガッキー兄弟の『ストーカー』的な印象で、なんだかよくわからなかったけどご苦労さんというか。『石の笛』なんかも彷彿とさせられるが、物語が面白いかそうでないかは、ある程度著者が向いている方向に依るのだろうと思ったり思わなかったり。自分の方を向いているのか、読み手の方を向いているのか。

読物 『ルーンの子供たち』

オンラインゲーム『テイルズウィーバー』の原作だと知ったのは、読み始めてからのこと。
『冬の剣』序盤を読んでいたその頃は、なんだかすごい頭に来ていた。

このシリーズについて、困ったことは幾つかある。
シリーズは『冬の剣』全三巻と『デモニック』全五巻が既刊だが、どちらを先に読んだらいいのかわからなかったこと。
たぶんこっちだろうと手に取った『冬の剣』序盤が、ものすごくアレだったこと。ベッドの下から剣が失せたあたりで読むのをやめたという感想を目にしたが、それよりも前に投げてしまいそうだった。頭に来ていた。
地名、人名などの名称、その語感に親しめないこと。

それらを経て、とてもよい読後感を得ている。『冬の剣』はやや壮大になってしまったが、『デモニック』ともども基本的に地味で大きくはない物語であり、その辺が嗜好とマッチしたことになろう。
細やかな描写をするかと思えば、どうしようもない文章を書いてみたり。これは翻訳のせいかもしれない。そんなアレな印象を受けつつも、続きが読みたくて仕方がない。
第三部はいずれ刊行されるらしいが、いつのことになるやら。

ヒーローとヒロインがくっつかなくてやきもきさせられるなんて、年を取ったということだろうか。久しくなかったことだ。

リンク作成してて、Next novels版というものが存在することに気づいた。読み終わってから気づいてよかった。カバーイラスト的な意味で。

2015年9月 6日 (日)

読物 『左巻キ式ラストリゾート』

ナンデスカコリハ。


本作品の、余韻というよりは当惑というべきものに浸っている時、ふと思いついたことがある。
エロゲの主人公は、言い訳ばっかしてるってことに。
考えたことはなかったが、PC98を所有していた頃はたまに遊んでいたエロゲの頃から、ひょっとするとそうだったのかもしれない。その展開のつじつまが純愛の果てであるかのようにふるまわせるのは、シナリオやキャラづくりの弱さを補完するためではなかったかと。けっしてイキオイではないと言い訳したいからなのではないかと。

ASCIIから発売されたその筋の嚆矢ともいえる作品では、思えば主人公は言い訳をしなかった。作品そのものが言い訳をしていなかった。
今でもとても愛しているその作品の二番煎じがあわなくて、名作というとノベルゲーしか見当たらなくなってしまった昨今はほとんど遊んでいないが、幾つか遊んだそれらのすべてを愛せない理由は、物語そのものではなく、そんなところに理由があったのかもしれない。

そう思えてしまったら、世の中の悪役がなぜ人気を博すかに妄想がぶっ飛んでしまい、やつらが言い訳しないことがその理由ではないかという着想を得た。言い訳はカッコ悪い。


ついでに、『カエルの死』をイマドキの技術でDTPしたら、どんなふうになるんだろうかと思ったり思わなかったり。

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