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2011年10月 1日 (土)

読物 『渋谷 道玄坂』

 灸点師[示爾]一はそのふぐりが股間をふさぐ程大きく、膝を組むことができなかつたのであぐらをかいたまま灸をほどこしていた。もとは素人であつたがその灸は奇妙に利くといつて、二里も三里も先からここを訪ねて来る人が多かつた。だが人はその苗字も名も呼ばず、上原の大ふぐりとあだなして灸の利き目を人に説いた。
P.49
地元の県立図書館は、児童の好みに合う書籍がなくて、児童の頃、「たいへんつかえない」という烙印を押していた。 さて、本書は『疵―花形敬とその時代』に引用されて興味を抱いたものであるが、長年愛顧してきた市立図書館には蔵書がなく、古本でも見つからなかった。 先日、県立図書館がIT化されたことを知り、ふと思い立って検索してみると蔵書あり。

昭和三十六年刊行。320円。
この時代に、市井のおかみさんが一冊の本を書き上げたことは非常に希なことではなかろうか。

渋谷が昔は谷だったとかいう話は聞いたことがあるが、道玄坂が「人殺しの坊主、道玄」由来だとは知らなかった。
そんな由来から始まって、著者が少女時代の風景、関東大震災、空襲などの事々によって、そしてまたそれによらず変化していった地元のできごとがエッセイ風にまとめられている。

個人的なことだが、実家のある場所は城のお堀を埋め立てた場所であったとか、今は昔の物語は身近にあふれ、そして忘れられていく。

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