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2011年5月19日 (木)

読物 『鉄のエルフ』

「栄光と死だ、アルウィン」 イムトが言いなおした。「栄光と死、栄光が先で、死があと。大事なのは、この順番だ。”栄光”と”死”のあいだを充分あけるようにすりゃ、栄光をたっぷり味わえる」
「栄光のチャンスがあるんですか?」
「いいか、アルウィン」 イムトが声をひそめたので、コノワは耳を澄ました。「世のなかには、一生のうちに使える分よりも多くのチャンスがあるはずだ」

――第一巻 P.208

かつて主催したTRPGキャンペーンで、しもべとなるNPCを召喚できるマジックアイテムをもたせたことがあった。持ち主のレベル分のNPCを呼び出せるというもので、持ち主がレベル5ならば、1HDx5、2HD+3HD、5HDx1などという具合に構成できる。
レベル7でNamedを召喚できるようになり、これを使役するために勝負イベントを用意した。レベル9で新たなNamedを召喚できるようになり、これを使役するためには説得するか勝負に勝たねばならなかったが、PCは十分な説得材料を持ち得ず戦いとなり、ダイス目に遺伝的wな障害をもつプレイヤーは敗北し、危機的な局面を危機的なまま乗り切らざるを得ないという状況を迎えた。
アイテムの略歴などは一切語っていなかったにもかかわらず、プレイヤーたちはいつしか「PCが死んだら使役される側になるんじゃないか」と推測するようになったが、それが明らかになる機会はおそらくなかろう。

そしてまたかつて、サークルメンバーの一部が、サークルメンバーをキャラクターに見立ててファミコン版ウィザードリーをプレイしたとき、二十余名中ただ一人、我が身だけがドワーフに仕立てられた過去がある。
ドワーフ好きを自認する身の上であるとしても実に微妙な扱いであったといわざるを得ないが、キャラクターをロストさせてはヒャッハーしていた彼らの楽しみ方を否定することはできない。

さておき。
原題"Iron Elves"。
作中に登場する「鉄のエルフ隊」を指すのかどうかまだ不明だが、邦題がキャッチ―な印象を与えることは拭い得ない。『プライベート・ライアン』みたいなカンジ?

第一部を二分冊した邦版第一巻のあとがきによれば、三部作となる予定らしい。エルフ好きのサルヴァトーレが絶賛しているという。
小説でまんま『フルメタル・ジャケット』を体感したのは秋山瑞人の『EGコンバット』が個人的嚆矢となるが、本作でも同様な「ファミコンウォーズが出るぞ! カーチャンたちには内緒だぞ!」的なノリをそこそこ楽しむことができる。
そんないいカンジで1巻を読み終え、2巻はわけわかめで読み終えた。

かつて、翻訳ものFTには信仰に近い信頼感をもっていたが、『女神の誓い』で迷信であったことに気づき、『ハリーポッター』や『ダレン・シャン』で世界的メジャーであってもgdgdになりうることを体感した。本作品については、なにがどうなってるんだかわからない描写がありすぎることと、なぜにこんなにもカオスにしなければならないのか、もうちょっと小説的予定調和があってもいいんじゃないかということを強く思う。
『霜の中の顔』や『リフトウォー・サーガ』を好ましく感じる性癖にマッチする雰囲気を持っていただけに、第一部の読後感は非常に残念である。

ドワーフの軍人がステキな物語というと『ドラゴンランス伝説』が思い浮かぶが、新たに一つ、本作品が記憶されたことを付記する。それだけを楽しみに、第二部も読んでみることにしよう。

どうでもいいことなんだが、文字が大きく余白が広く見え、がんばれば一冊でいけたんちゃうかなと思ったり思わなかったり。

カバーイラストを手がけたワダアルコについて、どのような経歴をお持ちであるかロートルは全く知らないのだが、1990年代の懐かしさをふと、感じてしまった。ブログを参照した限りでは絵柄に幅があるようで、となればこれは意図したものか。

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