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2010年9月16日 (木)

読物 『金融腐蝕列島』

ここしばらく読んできたものが染みている。
読後の第一印象として、そんなものがある。
関連する事柄を知らずに読んだのと、知ってから読んだのでは読後感も大きく異なる物語であろうが、知らずに読んでも面白いだろうとは思える。
我が身の立場としても面白いが、いささかドラマティックでありすぎると感じられる。

親戚の銀行マンに、バブルについて参考文献はないかと、雑談めいて問うたところ、「ちょっと違うけれど」と、紹介されたことをきっかけとして着手に至った。
たしかに「ちょっと違う」が、一次資料へのリンクの役割は果たした。

本書で紹介されている「資産価格変動のメカニズムとその経済効果」は、大蔵省の財政金融研究所が出したバブル経済の発生と崩壊を分析したレポートだという。

発生と経過についていろいろと論述されてられているが、金融について門外漢の身の上としては「さようでござるか」というところ。
リスク管理が不十分であったことは同資料中にも繰り返し述べられているが、それよりも一層根源的なものとして、政治にしても金融にしても、責任者不在のまま、未来にツケを回すことを前提としていることが問題なのではないかと思うを禁じ得ない。
過去の負債というものが、そうせざるを得ないほどに大きいということなのだろうか。

同資料で再三繰り返されているのが、タイムラグ。状態の観測結果と政策実行のタイミングに乖離があるというものである。
乖離が生じてしまうのはやむなきことだが、事後に、第三者を介して事態を俯瞰した立場からすると、「不適切な時期に、不必要に過度に/必要以上に過度に、手が打たれた」という印象は否めない。
巨艦の進路変更は急には出来ないというが、わりとこまめに操船していたようであるにもかかわらず、ここぞというときに必要な操作が行われていない。そんな印象が否めない。

さておき、バブルが発生した歴史的背景は十分に理解できた。同資料から以下に引用する。

1.  資産価格の上昇とその要因
 (1) 80年代後半に生じた資産価格の急激かつ大幅な上昇は,
  ① 85年9月のプラザ合意以降の急激な円高を契機として金利が歴史的な
   
低水準となり,マネーサプライも高い伸びを示すなど金融が緩和し,しかも
   
それが長期にわたったこと,
  ② 金融緩和,大企業の銀行離れ等の金融環境の変化の下で,リスク
   
管理,自己責任原則等の体制整備が不十分なまま,金融自由化が過渡期
   
を迎え,そのなかで金融行動が著しく活発となったこと,
  ③ 長期にわたる景気拡大や円高による国際的地位の上昇の過程で,わが
   
国経済の先行きについて強気の期待が高まり,資金の借り手のみならず,
   
貸手のリスク認識も低下したこと,
  を背景に,企業の設備投資の増勢に加え,大量の資金が株式・土地の市場
  
に流れ込んだために発生したものである。
 (2) この間の経済政策については,以下の問題が指摘される。
  ① 円高の影響については,既に景気後退局面に入っていたため,悲観的な
   
面が強調される傾向が強かった。
  ② 内需拡大による対外不均衡是正,急激な円高・ドル安抑制という政策
   
目標を達成するため,金融政策にウェイトがかからざるを得なかった面
  あった。
  ③ 経済情勢の認識から経済政策の効果が発現するまでのタイムラグの
   
存在は,経済政策を判断する上で難しい問題であり,慎重な情勢判断が
 必要である。
 (3) 今回の景気循環の過程では,わが国経済のストック化の進展を背景に,
  
資産総額の変動がGNPに比肩しうるような規模に達するに至ったことから,
  
資産価格の変動が実体経済の振幅を大きくした点が,通常の景気拡大局面
 と異なっている。ただし,資産価格上昇の実体経済に与える影響の大きさに
 ついては見方が分かれている。

次なるポイントとしては、どうやって膨らみ始めたのか、ということになろうか。

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