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2009年11月 6日 (金)

読物 『ドラゴンランス伝説』

かつて「セカイ系」とか「腐」とかいうコトバが世になかった頃のこと。
『~戦記』では「ぼく」という一人称がふさわしかった魔術師レイストリンは、主役級の力を得た『~伝説』では「私」と称するのが当然であろうと感じられたものである。せつらが豹変して羅刹となるが如く。個人的な趣味と笑わば笑え。

さておき、力ある存在に「ぼく」といわせ続けたのは、ありとあらゆる方向から検討して下した政治的な判断であろうと漠然と得心していたわけである。

かくて世にコトバが来たりて、異なる解釈が身の内に生じた。ありえないとは思う。
本書の訳者は複数人、女性がほとんどである。ひょっとしたら、彼女らの主張によるところが大きいのではないかという疑念が湧き上ってきたのである。ありえないとは思うのではあるが、
「レイストリンは"ぼく"じゃなきゃダメなんです!」
腐に燃えた主張がなされ、強硬に推し進められたのではないかという妄想が止まらない。

角川つばさ文庫なるものにて推定全12巻という極悪なナニで再出版されるであろう『~戦記』が好調ならば、『~伝説』も再出版されるだろう。新版の読者はおそらく、本作品をセカイ系と分類するに違いない。
だとしても、悪が台頭しゆくさまを描き、それが挫折するさまを描ききった作品は稀有である。悪たらねばなしえぬ善を描いたものとしては他に例を知らない。イラストがアレだとかいう評価は思いはあれど、是非とも再出版を完遂していただきたいものである。


富士見書房版文庫本の邦題は『ドラゴンランス伝説』。原題は"DragonLance Legends".
同邦巻1巻『パラダインの聖女』 2巻『イスタルの神官王』、は原題"Time of the Twins".
同邦巻3巻『黒ローブの老魔術師』 4巻『レオルクスの英雄』、は原題"War of the Twins".
同邦巻5巻『黒薔薇の騎士』 6巻『奈落の双子』、は原題"Test of the Twins".

今回、久々に読み直して改めて深い溜息をつかされた。否定のそれではない。満足のそれである。
原著3巻部分に相当する物語のカタルシスは、滅多にないものである。
だからこそ、邦題のセンスのなさは一層罪深いのだ。

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