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2009年9月 6日 (日)

読物 『昭和激流 四元義隆の生涯』

 政治家 
             宮沢賢治

あっちもこっちも
ひとさわぎおこして
いっぱい呑みたいやつらばかりだ
       羊歯の葉と雲
           世界はそんなにつめたく暗い
けれどもまもなく
さういふやつらは
ひとりで腐って
ひとりで雨に流される
あとはしんとした青い羊歯ばかり
そしてそれが人間の石炭紀であったと
どこかの透明な地質学者が記録するであろう


中曽根康弘元首相の指南役として知られた人物であるという。

四元という人物は、血盟団事件の関係者の一人であるという。
殺人に手を染めることはなかったものの、実行犯の一人として懲役実刑に処せられた過去を持つ。血による革命は事態をいっそう悪化させることを実体験の中から悟り、国家を善くするという大欲に身を投じ、砕骨粉身に働くうちに、同時代の、あるいは次代の政治家たちに影響力をもつようになったと読める。その在り方は、ナガト皇帝の若き日をどこか思わせる。

『坂の上の雲』では小村寿太郎の弁に触れ、本作品では宮沢賢治の詩に触れ、明治から昭和まで、日本の政治家の少なからぬは、政治ゲームプレイヤーにすぎないことを思い知らされてきた。意識してかせずしてか、言論もその風潮を支持していることは、本作品にも見て取れる。四元の前半生を語る前半よりは、戦後の政治家たちにいかに関わってきたかを語る後半部の方が筆がノっている印象は否めない。

著者が自ら語るところによれば、著者はこの人物の弟子にあたり、立脚点から著述にかたよりがあるだろうことを自ら弁じているが、それを見極める目は、我が身にはない。


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コメント

こんにちはー。

エフではご無沙汰してますね。
私もあっちは最近あまり顔を出してないのですが。

えー、感想です。
この本は読んでませんが、昭和までの人間にはそれでもまだ、「面白い生き様」みたいなものを持った人がいたように感じます。
財界人とか政治家とか、伝記を読むと社会の評判とはちがってたりしますし。

平成になってからの人物(政治家・財界人など)で、死後に伝記が残せそうな人って思いつかないですね。

>「面白い生き様」
たしかにおっしゃるとおりです。
私自身、昭和という時代に、感ずるものが芽生えるとは思っておりませんでした。
笹川良一は是非もありますが児玉誉士夫には非しかなかったりとか、昭和にはどんだけフィクサーがおるんやねんとか、そんなことも含めて。

私の愛読書に登場する、国家を戦争に導いた政治家が、多数与党を破り政権をとったとき、国民に向けてこんなメッセージを発しました。
「みなさんにこれだけは断言できます。
歴史は今、作られていると」
人物ではなく、時代の風向きを語るべきなのかもしれません。

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