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2009年8月15日 (土)

読物 『破天荒人間笹川良一』

 大衆はいつの時代でもインテリではない。インテリはその知識の仕入れ先次第で、根こそぎ判断力を狂わせられる弱点を持っている。が、大衆はそうした知識による偏見の呪縛の外にあって、本能的に正邪を嗅ぎわけるふしぎな嗅覚を持っている。

P.207より

「君は川島芳子の愛人であったとの事だが、それは真実か」
(中略)
 笹川は、田中(降吉)の卑劣な根性に呆れ返ったが、
「男女の関係は夜の部に属します。夜の部はあまり公開せんものです。僕は腰から上の人格者で、腰から下は夜の部ですから、敢て保証の限りではありません」
 と答えた。
 米人検事は、笹川の言葉をきいて、腹をかかえて大笑いした。

P.257より

 昭和十六年一月のこと。当時航空本部長だった山県正郷海軍中将が、笹川に、飛行機生産の資料を上海その他外地で調達してくれんかと、頼んだことがあった。しかし、この時笹川は、
「私はそういうことは不得手なので、児玉君がいいでしょう。彼は度胸もあるし、商売もうまいから……」
 と、児玉や小林を紹介した。いわゆる「児玉機関――」の誕生の裏には、こうした経緯があったのだが、そんな形の軍との癒着は、彼の希むところではなかったのだ。

P.273より

あとがきによれば、著者である山岡荘八は、海軍報道班に在籍していた当時から刊行された昭和53年まで、笹川良一とは30年来の知己であるという。主題とする著作を興すという山岡のラブコールを笹川は拒み続けていたが、互いに残された時間が二人の間で話題にのぼった時、「全てをつつみかくさず公開するならば」という条件で、笹川が受諾したという。

ロッキード事件のみにターゲットをしぼった落合の書。トピックのみをかいつまんだ内容ではあるが、生い立ちからの姿を描いた山岡の書。二者は相反するようにも読めるが、そうでないようにも読める。
客観的にはどちらを採ることもできないが、主観的には山岡を選ぶだろう。そうであるならば肯けることもあるからで、それはまったくもって主観的なことであるからだ。

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