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2009年6月14日 (日)

読物 『マルドゥック・ヴェロシティ』

九人の戦鬼と、人のいう――


極度な俺文体といえば秋津透である。というか、それしかしらないので『魔獣戦士ルナ・ヴァルガー』といいなおす。あの独特の文体は、慣れれば快適だが、慣れるまで非常に苦痛であり、他の文体への適応を著しく阻害する。

本作品も極度な俺文体である。
慣れるまでに時を要し、老いたせいか、なじむまでもなく読了に至ったことはさておき。
『~ヴェロシティ』の、『~スクランブル』とは全く異なる筆致はたぶん、戦闘描写のために必然としたのではないかという妄想を得た。

戦闘アクションをいちいち描写するような文章を求める作家の心情とはどのようなものだろうか。ビジュアル的メディアへの挑戦、あるいはビジュアル化されたときの布石ということなのだろうか。
なんにせよ、それは容易なことではない。人名が頻出し、読んでいて苦痛なほどだらだらと続く。それまであった爽快感も消えうせる。

これを緩和するために再考を重ねた結果がこの文体なのではないかと思わなくもないが、それはわりとどうでもいいこと。
戦闘描写以外はそこそこイけてる。

物語の構図もなにもかも異なるのだが、なぜか強く『蒼穹のファフナー』を想起させられた。もはやストーリーも思い出せないが、似たようななにかがあったのだろう。『~スクランブル』ではなかったことなので、同時期の仕事だから、ということになるのだろうか。

予定調和的物語構成は好みにあわないが、やがて書かれるであろう続編も、読むかもしれないというほどには気にいった。

表紙イラストは前作と同じ寺田克也。
オンナよりオヤジを好む絵師である氏らしく、前作より鋭く重い切れ味を見せている。
次作ではおそらくまた、切れ味を鈍らせることだろう。

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